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釣人の番 [釣場・自然環境]


7月6日に第1回目の「これからの内水面漁場(渓流域)の管理・構築に係わる協議会」を開催しました。
(少々古い話題で失礼)

(独)水産総合研究センター中央水産研究所の中村智幸氏によるお話、
「イワナ・ヤマメの種苗放流と問題点」
水産庁沖合沿岸課 釣人専門官の桜井政和氏によるお話、
「内水面漁場管理の現状と問題点」
という2つの基調的講演をお聞きした後に、参集した漁協・行政・釣人の3者でフリートーキングするという形式。
全部で25名ほどの参加者で、内容の濃い発言をお聞きする事が出来ました。

中村さんのお話では、
・在来個体群の保護と放流に頼る現在の増殖方法に対する危惧
・地域によるイワナの系統別遺伝子型
等のお話があり、日頃から「たぶんそうなんじゃないの??」と思っている事を科学的に理路整然とした言葉で表現される事で理解を深める事が出来ました。
桜井さんのお話は現在巷でよく口にされる釣場の問題について的確にまとめられていて、
これまた我ら釣人の言いたい事をしっかりとした言葉で表現してくださいました。
注目すべきは、この学術的・社会的という側面の違うアプローチからのお話にもかかわらず、ご両人とも行き着く所は「ゾーニング」だった事。
限られた資源の効果的な活用という事でこのゾーニングという手法に行き着くと言う事のようです。
実際にこの「ゾーニング」を考えると、地域事情に即した具体的な区域と方法を調整、理解を得るのに多くの理解が必要となることでしょう。
でも釣場荒廃を目の当たりにしている我ら釣人としては、このまま手をこまねいている訳にはいきません。
一つでもケース作ってみるのが第一かと思いました。
後半のフリートーキングはやはり主に釣人からの意見が多く出てきました。
遊漁料金支払いの不公平感の事、遊漁券のバリエーションから端を発し漁協の経営努力の事。
それらの中で、私が個人的に気になった事としてニジマスの特定外来生物候補化の話がありました。

その場ではそれ程突っ込んだ議論にならなかったのですが、これは後から考えると釣人の社会的地位?!(というと大げさですかな)に影響するのでは?と危惧。
6月1日に施行された外来生物法で、対象となる特定外来生物としてブラックバスを指定するかどうかのすったもんだがあったのは周知のとおりです。
結局、ブラックバス・ブルーギルは指定の対象となり、飼う事・増やす事・持ち運ぶ事等が禁止されたのですが、この第2次指定種の候補としてニジマス・ブラウン・ブルックが指名されています。
「被害に係る一定の知見はあり、被害の防止に向けた普及啓発・防除手法の具体的検討を進めつつ、引きつづき、指定の適否につき検討する外来生物」
という、まあ上から2番目の検討対象グループなのですが。
ニジマスやブラウン、ブルックは元来日本に生息しなかったものが人為的に広がったのは事実であり、その点ではブラックバスとなんら変わりありません。
普及度や活用度、そして生態系への影響度は良く調べ、考える必要があると思いますが、この事について果たして釣人は“意見を聞かれる側”としての対象になり得るのでしょうか?
キレイに言えば「健全なレジャーと多様なニーズ」、下世話に言えば「勝手三昧」な釣人のこと。社会が営まれる上でも「釣人」という人種はおよそ市民権を得ていなかったのが、
ここに来てようやくまあ相手にはされるようになってきたところ。(水産庁に‘釣人専門官’ができたし)
その矢先、突きつけられる課題に対して果たして釣人は一丸となった(とまでは行かないまでも、ある程度はまとまった)意見を述べることができるか?
行政は動き出していて、今度は釣人側に反応が求められている番と感じています。
釣人も、勉強し、主張し、動かねばならない時なのでしょうネ。


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コメント 4

おじま

先日は、お世話様でした。今思い出しても、中村さんの研究は見事でしたね。ああいう方が、情熱を持って研究をしてらっしゃるのには、勇気づけられました。
ブラックバスは残念でした。こうやって、釣りとは別のところで釣り人の権利が侵されていきます。そうして釣りの多様性(すそ野)が、狭められて行くのは悔しいです。今後が不安ですね。
by おじま (2005-07-14 21:29) 

ヤマセミくん

こんにちは
とても興味深いのですが、ゾーニングとは具体的にどういうことなのでしょうか?
by ヤマセミくん (2005-07-15 00:18) 

curtis

>> おじまさん
お疲れ様でした。
遅れ馳せながら、今更TBさせていただきました。
中村さんとは2日目に鬼首を一緒に回らせてもらったのですが、実地での有効なアドバイスをたくさん教えていただき、心強い限りでした。釣人の迷信的な話の真否も一つ解決しましたヨ。(・・・これは折角なので別のブログネタにします!)
ブラックバスの問題、これから来るであろうニジマス等の問題は、大きく捉えると「どこまで自然を活用するのか?」と言う事になりますよね。
どこまでが「活用」でどこからが「破壊・消耗」なのか、一概に線が引けない所で難しい。ましてや人間もその自然を構成する一員なわけですし。ん~、考えなきゃ。

>>ヤマセミくん
ゾーニングは、川を目的別に区分けして利用する管理方法です。
「ゾーン」のing形・・・?かな??
例えば、
・下流の堰堤までの区間は大型放流魚でフリーキャッチ区間
・中流の堰堤までは大型放流魚で尾数制限5匹区間
・上流部は質の良い個体だけ少量しか放流せずC&R区間
・沢筋は自然再生産に寄与するのでC&Rで人数制限
・特定の源流部は地域原種が生存してるので禁漁
・・・などなど。
と言う感じで、一つ(又は複数の)の河川でもゾーン(エリア)分けして様々なニーズに答えられるようにする漁場管理の方法です。
こんな事を実際の河川について、漁協と一緒に具体的に考えていけるんですよ。
釣人として思う理想的な河川管理の姿を反映させられると思うと、ワクワクしてきます!
ヤマセミくんもご興味あれば次回は出席してみませんか?
DMでも下さい。
by curtis (2005-07-16 22:19) 

ヤマセミくん

いやいや丁寧な説明ありがとうございます
漁協に意見できる機会があるのはいいですね
会場は仙台ですか?
その為だけに足を運ぶほどではないのでウェブで上知ることが出来たり意見できたりすれば都合がいいのですが・・・
今のところCURTISさんだけが頼りですw
by ヤマセミくん (2005-07-17 01:46) 

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